志木市天然記念物
「長勝院(チョウショウイン)ハタザクラ」
平成5年10月6日 志木市天然記念物に指定
平成10年9月「櫻の化学」研究誌にて新種と認められる
<目通り3.07m 樹高11.20m 樹齢400年以上>
  世界に一本の桜はこうして発見された。
 一人のこよなく桜を愛でる男がある日亭々聳える巨木と出逢い、調査をしたことから始まった。その苔むした老樹の肌に耳を近づけると在りし日の子ども達の歓喜の声が・・・・・・、更に近づくと古の武士の雄叫びが聞こえてくる・・・・・・。
 此の城は、平安の末期、田面郡司(たのものぐうじ)藤原長勝(ふじわらおさかつ)の居城(柏城)であった。 一説には、永禄4年(1561年)上杉謙信に攻められ、落城したと言われる。長勝の死後、時の地頭が主君源頼朝の妻政子の安産祈祷のために長勝の霊を祀って建てた寺が、清滝山薬王寺長勝院と名付けられたという。時は経ち、寺は損杤が著しくなり、昭和61年5月、寺は解体され、往時を偲ぶものはこの一本の老桜のみである。 その桜にはこんな話がある。
 柏の城主、田面郡司藤原長勝に「皐月前」というそれは美しい姫がいた。その姫に一目惚れした在原業平と駆け落ちした悲しい恋物語である。時は経ち、京より高僧道興准后が訪れ、その話を耳にしたことから追善供養が営まれ、手向けとして挿した一本の枝が芽を出した。それがこの桜と今に伝わる。


ハタザクラの特徴

 チョウショウインハタザクラはヤマザクラの変種だが、野生のヤマザクラと比較して次のような特徴が見られる。
 枝はやや太く、花は大型で花弁は円形に近い広楕円形で、長さ2センチ弱にもなる。ほとんどが白色で時には先端に淡紅紫色を帯びる。蕾の時は白色で先端は淡紅紫色を帯びる。
 他の桜と同じく花弁は5枚であるが、かなりの頻度で6?7枚の花弁が見られる。正常の5枚以外のものは雄しべが花弁のように変化したもので、これが旗状になっており「旗弁」と呼ばれ、ハタザクラの所以である。
 一輪の花の中に可憐なハタがゆれるのは、まことに優美で自然の妙に感激してしまうほどで染井吉野では味わえない趣のある桜である。成葉になると葉身の長さは最大約14センチ、幅は約7センチにも達し、他のヤマザクラと比較してかなり大きい。